自分で行うことは可能です
相続手続きはとても大変ですが、自分で行うことは可能です。
多くの時間と労力が必要になる場合も少ないですが、費用面では自分で行うことができれば節約になるでしょう。
相続財産の内容、金額、相続人の数や状況によっては費用以上の苦労がかかる場合もありますので、ご自身の環境や相続人同士で相談して決めることをお勧めします。
どんな場合(人)なら可能か?
人それぞれ、相続それぞれ、状況や事情も違うのであくまで目安ですが
- 時間にゆとりのある人
- 時間や期限の管理が得意な人
- 遺産の内容に不動産がない人
- 相続人が限られる場合
- がまん強い人
①時間にゆとりのある人
金融機関は週末祝日の手続きができません、原則、平日に手続きを行う必要があります。
金融機関によっては専門の部署があり、申請と回答を重ねことになる場合があります。平日に複数回、足を運ばなければならないので、平日にお休みが取りやすい環境が必要になります。
②時間や期限の管理が得意な人
相続手続きの中には期限が決まっているものがあります。
例えば、相続放棄は相続の開始を知ってから(被相続人が亡くなったことを知った時から)3カ月以内に行う必要があります。
相続税がかかる場合は10ヶ月以内、という期限もあります。(準確定申告は4ヶ月以内)
スケジュールをたて、着実にこなす必要があり、時間の管理が得意な人は自分で相続手続きができるかもしれません。
基本的に相続税がかかる場合は税務署、税理士への相談、依頼を強くお勧めします。
③遺産の内容に不動産がない人
相続財産が現金、預金だけであれば計算や税金の問題、手続きも比較的容易かもしれません。
しかし相続財産の内容に不動産がある場合は個人が自分で手続きを行うのは難しくなります。
土地や建物はその価値の把握と手続きが複雑です。
相続登記などの手続きも含めて知識や経験がない場合は専門家への依頼を検討した方がいいかもしれません。
※権利に関する登記は弁護士、または司法書士しか行えません。
④相続人が限られる場合
相続人が少なければ戸籍の収集も少なくて済みますし、遺産分割協議もまとまり安いかもしれません。
人数が多いほど手間は増え、話はまとまりにくくなるのは多くの場合共通することと思います。
もちろん人数以外にも遺言書の有無や、相続財産の内容に大きく左右されますが、相続手続きでのトラブルの多くは遺産分割協議がまとまらないことが理由です。
もし相続人がご自身1人であれば、自分で行うことは比較的容易かもしれません。
⑤がまん強い人
相続手続きを自分で行うには、専門的な知識や情報が不可欠です。
それがない状態から手続きを開始して、時間の制約の中で完了させるには精神的な強さも必要です。
金融機関が複数あれば手続き方法や必要書類もそれぞれに確認が必要です。
土地や家の相続であれば、登記手続きや税金の知識は不可欠ですが、その内容は非常に複雑です。
手続きのために必要な情報の収集。
集めた情報の整理と、実行するための手順の確認。
必要書類の収集。
申請にかかる窓口での対応や時間と手間の繰り返し。
こういった点を踏まえて判断が必要になります。
主な必要な書類
相続手続きで必要になる書類の例
- 故人の戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺言書か遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 故人の住民票の除票
- 預貯金の残高証明書
- 不動産の登記簿謄本、固定資産税評価証明書
①故人の戸籍謄本
法定相続人になる人を明らかにするため必要になります。
被相続人が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本が必要です。
加えて、除籍謄本や改正原戸籍謄本が必要になる場合もあります。
・除籍謄本 戸籍簿から消除された戸籍を証明する書類
結婚や死亡、引っ越しに伴う本籍地の変更による転籍などにより、戸籍に誰もいなくなった場合、その戸籍は消除されます。
現在の戸籍には記載されていない人が相続人である場合があるため、その確認のために必要になります。
・改正原戸籍謄本 法改正によって様式が変更された場合の過去の戸籍
法改正によって様式が変更された際、変更前の様式で記録されていた戸籍が「改製原戸籍謄本」です。
上記のように、相続手続きの際は故人の生まれてから死亡までのすべての戸籍が必要になります。
故人の生前中に改正によって戸籍の様式が変更されている場合は、この改正原戸籍謄本の取得も必要になります。
故人の本籍地を管轄する市区町村の役所・役場の窓口や、地域センターや市民サービスコーナーなど取得できます。
②相続人全員の戸籍謄本
法定相続人が確定したら、その相続人の生存確認のために現在の戸籍謄本が必要になります。
故人の死亡が記載された戸籍謄本に相続人が記載されている場合は、その戸籍謄本に相続人の記載があれば、その方の戸籍謄本を別に取得する必要はありません。
③遺言書か遺産分割協議書
故人が生前に遺言書を遺していなかったた場合は、法定相続分で遺産分割をするか、遺産分割協議書が必要になります。
なお、法定相続分で遺産分割する場合も、後々のトラブルを避けるために、遺産分割協議書を作成することが望ましいでしょう。
遺産分割協議書を作成するためには相続人全員の同意と印鑑証明書が必要です。
これらの書類は相続手続きの多くの場面で必要になります。
④相続人全員の印鑑証明書
不動産の相続登記を行う際、遺言書の有無、遺言執行者の指定の有無、遺産分割協議の内容、不動産を取得する人が法定相続人であるかどうか、など、場合によって所定の人の印鑑証明書が必要になります。
状況によっては不動産を取得する人だけでなく、相続人全員の印鑑証明書が必要とる場合があります。
⑤故人の住民票の除票
死亡届が提出されると、故人の住民登録は抹消されます。
抹消された住民票のことを「住民票の除票」といい、相続手続きに必要になる場合があります。
相続登記の申請の際には、亡くなった方の登記上の住所から最後の住所(住民票の除票に記載された住所)までのつながりが分かる資料として住民票の除票を提出して、亡くなった方が登記に記載された人物であることを示す必要があります。
転居先の記載を追って登記上の住所と亡くなった方の最後の住所がつながりを確認します。
この住民票の除票は、故人が最後に住んでいた場所の市区町村役場(役所)で発行しもらいます。
⑥預貯金の残高証明書
遺産分割協議や相続税の申告の際には、預貯金財産の確認をするために、金融機関から「残高証明書」を発行してもらう必要があります。
通帳があれば記帳すればよいのですが、ネット銀行や通帳を発行しない利用をしている場合は金融機関で証明書の発行を申請する必要があります。
⑦不動産の登記事項証明書、固定資産税評価証明書
不動産は管轄の法務局で登記簿謄本で管理され、市役所または市税事務所で、固定資産税が管理されており、登記簿謄本と固定資産税評価証明書で確認することができます。
これらは相続登記の申請に必要になりますので、不動産ごとに取得します。
固定資産税評価証明書には、不動産の評価額が記載されており、遺産分割の際に価値把握のための資料ともなります。
相続手続きのご相談は かさい行政書士事務所へ

かさい行政書士事務所では、相続手続き、遺産整理手続きの相談、代行を承っています。
相続の手続きには、法的な手続きや金融機関での手続きなど、専門的な知識や労力を必要とします。
自分で行いたいが、難しい手続きだけ依頼したい、といったご希望などもお気軽にご相談ください。