遺言書と死後事務委任契約はいつでも作り直せる

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遺言書や死後事務は一度決めたら変えられない?

「遺言書」と「死後事務委任契約」について

先日こういったご質問を頂きました。

「遺言書や死後事務委任契約を用意して、万が一の時に備えておきたいが、遺言や死後事務委任契約を作成したら、もう変更は出来ないんですよね?」というご質問でした。
そのほかにも、「遺言書を書いたら、遺言書に書いた財産(この方は預貯金のことをさしていました)は書いてある金額残しておかないとダメんだんでしょ?」というご質問もありました。

これについては誤解されている方も多いようなのですが、どちらも何度でも書き直しがきますし、遺言書を書いた後でも自分の財産は自由に使って問題ありません。
(もちろん、使いすぎて希望する遺言内容、死後事務内容のための財産に不足すると希望の実現は困難にはなります。)

生きている間は作り直しが可能です

最近は終活などで身近になってきた「遺言書」、これも遺言を書かれた方が亡くなるまでは、思いや要望を書いてあるただの書面でしかなく、なんら効果も発生しないものです。

これを逆に言えば、なんらの効果も発生していない書面なので、生きてる間は何度でも自由に作り直しができるということです。

「死後事務委任契約」も何度でも作り直しは可能となります。
ただし、遺言が単独の意思で行うものであるの対し、死後事務は相手方のある「契約」ですので、当事者間で変更に合意する必要はあります。

作り直しには手間の違いがあります

しかし、何度でも作り直しが可能とはいっても、遺言書や死後事務委任契約書をどのように作成したかによって、作り直しの手間に違いがあります。

例えば、一般的に多く利用される遺言書の形態としては、「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」があります。

公正証書遺言は、公証人役場で、遺言の内容を聞き取った公証人が公正証書遺言という形式で遺言書を作成します。

公正証書遺言は、公証人や証人への手数料、報酬が必要であり、作成に時間を要するため、何度も気軽に作り直しに手間と費用がかかります。
当然、手間と費用が気にならないのであればば何度でも作り直しは可能です。

次に「自筆証書遺言」ですが、自筆証書遺言は「自分ひとりで作成できる」「証人は不要」「費用もかからない」というメリットがあります。非常に経済的で、いつでも作成できるというお手軽さが特徴です。

自分で作るんだ、という強い意思があれば作成方法の情報を収集し、すぐに作成することもできます。
よって、自筆証書遺言はそもそも手間と費用が抑えられるため、作り直しも比較的お手軽に可能と言えます。

しかし、自筆証書遺言は作成の手軽さの反面、無効になってしまう遺言も多いというデメリットもあります。

公正証書遺言は公証人という法律のプロが作成し、かつ2人の証人が立ち会って作成しますので、基本的には遺言が無効になることはありません。
しかし、自筆証書遺言は、そいった客観的な確認、関与がないため、厳格な法律要件が定められています。

遺言書の原案作成を行政書士などの専門家に依頼した上で作成した場合は別として、ご自身だけで作成した場合、「あいまいな表現」「日付や押印、自書などの要件の不備」「紛失や未発見」といった、トラブルが出てきてしまい無効となる可能性があります。
その点、公正証書遺言ではこれらの問題は発生することがありません。

ですので、こうしたトラブルを避けるためにも「遺言は公正証書で」と言われることが多いと思いますし、私自身もそれが理想と考えます。

一部制度が改正され、法務局で自筆証書遺言を保管してくれる制度が始まりました。
法務局での自筆証書保管制度については法務省のホームページにてご確認ください
自筆証書遺言書保管制度(法務省)


死後事務委任契約にも同じことが言えます。
何度でも変更は可能です。

「公正証書で作る死後事務委任契約書」、「一般契約書で作る死後事務委任契約書」は、内容が正確であれば効果に違いはありません。
もっとも、「公正証書で作る死後事務委任契約書」の方が「一般契約書で作る死後事務委任契約書」よりも第三者(機関)の信用、信頼は厚い傾向があり、トラブル回避という面ではやはり公正証書にするのが理想ではあります。

しかし、遺言書が自筆証書遺言で作成されている(書き直しの可能性が比較的ありえる)場合は死後事務委任契約も一般契約書で作成する方が、以後の取り扱い的には優れる可能性はあります。

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